『悪党どものお楽しみ』を読みましょう

悪党どものお楽しみ (ちくま文庫)
パーシヴァル ワイルド
筑摩書房
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こどもと本屋にいったらたまたま平積みされたのでなんとなく買ったのだがハマってしまった。文庫の裏表紙には「ユーモア・ミステリー連作集」と謳っている。主人公のビル・パークリーは腕利きの賭博師だったのだが、劇的な更生をとげて賭博師稼業から足を洗い、故郷コネチカットで農夫をしていた。しかしひょんなことで、お金と暇を持て余すとぼけた好青年トニー・クラグホーンと出会ったことをきっかけにして、ポーカーやルーレットなどのギャンブルで行われる数々のイカサマを暴いて悪党どもに一泡吹かせるというようなお話。


作者はパージヴァル・ワイルドで、原題は『Rogues in clover』。「rogue」は悪党。「in clover」はどういう意味かなと思って英辞郎で調べたら「〔生活が〕安楽に、裕福に◆【語源】家畜が豊富な牧草の中にいる様子から」だそうな。トランプのクローバーとかけてあるのはもちろんだが、主人公のビルが牧場を経営していることにもかけてあるのだろう。


1920年代の作品で、端々に古き良きアメリカの精神を窺わせるが、よく考えると古き良きアメリカってなんだ。新しき悪しきアメリカは知ってるけど。そういえばこの作品はトランプの話だった。それはさておき、主人公のビルの言い回しが、昔ながらのアメリカン・ジョーク的な感じでツボにハマってしまった。一例をあげるとこんな感じ。「良心の問題」の中のビルのセリフ。

だけど自分はたいした手品師だという彼の信念を奪い去るくらいなら、赤ん坊から小銭を盗み取った方がましだよ!


原作も読んでみたい。