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『習得への情熱―チェスから武術へ―』を読んだ


原題は『Art of learning』。著者はジョッシュ・ウェイツキン。チェスの神童と呼ばれ、彼の父が息子を題材にして執筆した『ボビー・フィッシャーを探して』は映画化もされている。また、長じて太極拳の世界選手権覇者となったという変態的な人らしい。そんな人が「まなびの術」を語った本。

インスピレーションを得るための公式や型紙は存在しない。だけど、それを得る自分なりの方法を発見するために辿るべきプロセスならある。


と語られているように、「中学英語を3時間学ぶだけで猿でもわかるチェスのすべて」とかいう類のマニュアル本というのとは違います。むちゃむちゃ努力しているのが分かります。だけど努力をする際の意識付けなどによって上達の速さや到達点は自ずと変わってくるし、その意識付けの方法論にはこれこれこういうのがありますよというような内容でした。ざっくり言うと。だから読む人が何を求めるかによって合う合わないはあるでしょう。ただまあ自伝的要素が強いのでそれだけでも面白いのは面白いです。


一番印象に残ったのは以下の文章でした。

それはもはや数え切れない時間だけれど、そうやって毎回その日の勉強を終えるたびに、疲労困憊しながらも、自分の限界の外側にあるチェスの可能性について、ほんの少しだけ、ほんの微かではあるものの、理解できたのではないかという希望で心が満たされるから不思議だ。

ボビー・フィッシャーを探して
フレッド・ウェイツキン
みすず書房
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