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『スタンフォードの自分を変える教室』を読んだ

スタンフォードの自分を変える教室』を読んだ。

スタンフォードの自分を変える教室スタンフォードの自分を変える教室
ケリー・マクゴニガル,神崎 朗子

大和書房
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この本のタイトルだけ見た時は、スタンフォードには創設以来伝わる20個の教訓というのがあって、スタンフォードの学生はそれを常に意識して勉強に励んでいて、だからスタンフォードの教室は朝四時でも満員御礼なんだけど、みんな貧乏だからかけそばを一杯だけ注文して、それを教室にいる全員でシェアするみたいな日々の中で、教室に神様が登場して「お前の頼んだかけそばは金のかけそばか?」みたいなこと言うので、「いえ私たちが頼んだのはただのかけそばです」みたいな返事をしたら、「君たちって凄い正直者じゃん」って神様がすごく感激して、それを見たスタンフォードの学生の人生感が超微妙に変わった的な話を想像していたけどそんなんじゃなかった。


この本は「意志の力」についての本だす。ダイエット記事には毎回あれほどのブクマが付くのになぜあれほどの決意で臨んだダイエットが早々と挫折してしまうのか、あるいは、英語学習記事には毎回あれほどのブクマが付くのに年始に誓いをたてた毎朝の英語学習計画が成人の日まで続いた試しがないのはなぜかという悩みに対する回答が科学的知見に基づいて提示してある。スタンフォード版のためしてガッテンと思ってもらえば良いのではないかと思う。


本書はスタンフォードの生涯教育プログラムの公開講座「意志力の科学」をもとにしている。「意志力」に関する「最も優れた科学的見解」を紹介するとともに、講座で実際に行っている「実践的なエクササイズ」(およびそのフィードバック)が提示されている。著者自身の言葉を借りると本書は次のような特徴を持っている。

行動変革に関する本の大半は(中略)読者に目標設定をすすめ、さらにその目標を達成するためにはどうすべきかを説いています。しかし、自分が変えたいと思っていることを自覚するだけで事足りるなら、誰もが新年に立てる目標はことごとく達成され、私の教室は空っぽになっているはずです。
 そうではなく、「やるべきことはよくわかっているはずなのに、なぜいつまでもやらないのか」ということを理解させてくれるような本はほとんど見当たりません。


読んでて、「へえっ本当かな?」って疑っちゃう内容もあるのですが、じっくり我が身を振り返ってみると「ああ確かに」と妙に納得してしまうところの多い本でした。面白かった箇所を、見出しだけピックアップしてみます。


  • 食べ物で「意志の保有量」が変わる(第2章)
  • 運動すれば脳が大きくなる(第2章)
  • 腹が減っていると危険を冒してしまう(第3章)
  • 「やることリスト」がやる気を奪う(第4章)
  • サラダを見るとジャンクフードを食べてしまう(第4章)
  • ドーパミンは「幸福感」をもたらさない(第5章)
  • 死亡事故を見たらロレックスが欲しくなる(第6章)
  • タバコの警告表示はなぜ「逆効果」なのか?(第6章)
  • 自分に厳しくても「意志力」は強くならない(第6章)
  • 10分ルールでタバコを減らす(第7章)
  • 脳は「目にした失敗」をまねたがる(第8章)
  • 落ち込んでいるときは誘惑に負けやすい(第8章)
  • 好印象をねらうほど不愉快なことを口走る(第9章)
  • ダイエットは体重を「増やす」行動(第9章)


私が一番面白かったのは第4章「罪のライセンス」でしょうか。上にも挙げましたがこの章にある「サラダを見るとジャンクフードを食べてしまう」という部分は、心理学の「モラル・ライセンシング」という概念で説明されていて非常に興味深い内容でした。人間て、やっぱりちゃんとできてなくておもしれーというのが率直な感想でございます。