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いい大人が頭頂部をさらして歩くなんて恥をしれ!

繁田信一さん『庶民たちの平安京』を読みました。



昨年が平城京遷都1300年でしたが、中学時代に「なんときれいな平安京」と覚えてしまった歴史の苦手な同級生がいたので、彼を思い出しながら読みました。吉村君元気!


『庶民たちの平安京』の目次は以下のとおり:

 序章 王朝都市に暮らす庶民たち
 第1章 老人たちの語る庶民の身の上
 第2章 雑色錦重任の嘆願
 第3章 男女の雑色たちの働く姿
 第4章 小屋に住む人々
 第5章 庶民たちの声
 第6章 酒宴を楽しむ牛飼童たち
 第7章 牛飼童小犬丸の妻の抗議
 終章 都の治安を乱す王朝貴族家の従者たち


さて、平安時代というと1000年以上も前になるわけで、1000年もたてば風俗習慣もかなり変わってくることは予想がつくわけですが、本書に面白い記述がありました。


平安時代の日本では、成人男性が人前で頭頂部を晒すというのが非常に破廉恥な行為だったというのです。
p. 12

王朝時代の成人男性が頭頂を人眼に晒すのは、現代日本の成人男性が下着姿で人前に出るのと同様、かなり破廉恥な意味を持つ行為であった。


頭頂を晒すのが下着姿で人前に出るのと同じくらい破廉恥なら、下着姿で頭頂を晒して人前に出るとどれくらい恥ずかしいことだったのか、あるいは烏帽子だけかぶって全裸で歩くのは平気だったのか、などなど想像の翼は広がる一方だと思いますが、あなたのお母さんはあなたがそんな想像の翼を広げるためにお腹を痛めたわけではないことはよくよく知っておきなさい。


それはさておき、現代では多くの人が平気な顔で頭頂部を晒して人前に出ていますが、これが平安京だとすると、ドン小西とテリー伊藤以外は全裸で歩いているような破廉恥な感じになるわけです。あなたのお母さんはあなたがドン小西よりも破廉恥な人間だと思われるためにお腹を痛めたわけではないことはよくよく知っておきなさい。


というわけで、この調子ですと、頭頂部をさらけ出すことが恥になるという社会がいつ再び到来しておおかしくないわけですから、皆さんもワードローブの中に烏帽子のひとつくらいは加えておくべきでしょう。それが、過去の歴史から学ぶという真に知的で謙虚な態度ではないのではないかと思ったり思わなかったりする今日この頃ですが、皆さんはいかがお過ごしですか?




さて、「全力で頭頂部押し!」という当ブログの性格上、今回は頭頂部ネタをピックアップせざるをえなかったわけですが、この『庶民たちの平安京』には、それ以外にも興味深い記述が満載でした。どんなことが載っているかを脈絡を考えずに並べてみると

  • 平安京に暮らしていた人々の数はどれくらいだったか?
  • 王朝時代に「童病」と呼ばれていたのは現代ではなんと呼ばれている病気か?(現在では主に熱帯地域でかかる病気)
  • 平安期には赤ちゃんの売買が珍しくなかったそうだがその「値段」はいくらくらいだったか?
  • 東大寺で働いていた庶民は何名くらいだったか? どんな仕事に就いていたのか?
  • 庶民のお給料はいくらくらいだったか?
  • 平安京の不動産価格の相場は?
  • 平安時代の庶民の住宅の様子は?
  • 平安時代に流行していた賭博とは?

こうした事柄について著者の繁田さんが割と大胆な推理を加えながら語るというのがこの本の特徴で、一部推論に違和感を覚える部分もありますが、そういった部分も魅力のひとつになっている気もします。本書を手に取って1000年前の日本との「異文化交流」を試みられてはいかがでしょうか?