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I have a voice!!!『英国王のスピーチ』


今月公開予定の映画『英国王のスピーチ(原題:The King's Speech)』の予告編を見た。
 →映画『英国王のスピーチ』(原題:King's speech)公式サイト


配給会社の紹介ページを見ると次のようにある

スピーチができない男が、国王になった−。
吃音に悩む英国王ジョージ6世が自らを克服し、国民に愛される本当の王になるまでを描いた感動の実話。


ジョージ6世は現在の英国女王エリザベスのお父さん。お兄さんは「王冠を賭けた恋」で有名なエドワード八世(後のウインザー公)。やんちゃなお兄ちゃんのエドワード八世が王位をあっさり捨ててしまったために急遽お鉢がまわってきた*1。1936年に即位して1952年に死去しており、第二次世界大戦期というイギリスにとって非常に厳しい時代を国王として過ごしたことになる。


彼は内気で重度の吃音に悩んでおり、国王になることなどまったく望んでいなかったらしく、Wikipediaの「ジョージ6世」によると、兄の退位の前日には母親のもとを訪れて、子供のように泣きじゃくりながら愚痴をこぼしたという。
 →ジョージ6世(イギリス国王)-Wikipedia


映画は、ジョージ6世の吃音を矯正するために招かれた言語聴覚士ライオネル・ローグの助力を得て、第二次世界大戦中に国民を鼓舞する演説をおこない、国民に愛される王になるというあらすじのようだ。Wikipediaの「英国王のスピーチ」によると

この映画は、オーストラリア出身の言語聴覚士ライオネル・ローグの私的な療法記録をもとにして書かれた脚本によっているが、このローグの記録は2010年秋に単行本として出版された。この記録をもとにした脚本化は30年以上前にディビッド・サイドラーによって企画されたが、ジョージ6世の王妃エリザベスが、彼女の生きている間は公にしてほしくない、と許可を与えなかったため、当時は見送られた。

とあった。ちなみにジョージ6世の王妃エリザベス(つまり現在の女王エリザベスの母)は2002年に101歳で亡くなっている。


さて、最初に触れた予告編の中でコリン・ファース扮するジョージ6世とジェフリー・ラッシュ*2扮するライオネル・ローグとのやり取りが出てくる。ローグが「王の椅子」らしき椅子に腰かけている場面だ。

ジョージ6世 「その椅子に座るな!」
ライオネル  「何が悪い」
ジョージ6世 「それは・・・王の椅子だ」
ライオネル  「たかが椅子だ」
ジョージ6世 「話を聞け」
ライオネル  「なぜあなたの話を」
ジョージ6世 「伝えるべきことがある!」
ライオネル  「そのとおりだ」


上の引用で「伝えるべきことがある!」という字幕部分の実際の国王のセリフは「Because I have a voice!」だ(多分)。へえ、「voice」ってそういう使い方するんだと思って、一応英辞郎でも確認してみると、「have a voice」という項目があって

1. 歌うのに適した声をしている、歌唱力がある
・The new singer really has a voice. : その新人歌手は実に魅力的な声をしている。


2. 影響力がある、発言権がある

とあった。「伝えるべきことがある」というのは、2の意味をうまく訳している感じなんでしょうか。


少し興味がわいたので、映画のシナリオを公開しているサイトで当該部分を確認してみた。
 →King's Speech, The Script at IMSDb


「王の椅子に座るな」「たかが椅子だ」というやり取りはほぼ予告編のとおりなので「話を聞け」というところから。以下でBertieとあるのがジョージ6世です。

BERTIE
Listen to me... !


LIONEL
Listen to you?! By what right?


BERTIE
Divine right, if you must! I’m your King!!!


LIONEL
Noooo you’re not! Told me so yourself. Said you didn’t want it. So why should I waste my time listening to you?


BERTIE
Because I have a right to be heard!


LIONEL
Heard as what?!


BERTIE
A man! I HAVE A VOICE!!!


LIONEL
(quietly)
Yes you do. You have such perseverance, Bertie, you’re the bravest man I know. And you’ll make a bloody good king.


予告編のセリフとはちょっと違う感じです。このシナリオでは、「なんであなたの話を聞いて時間を無駄にしなきゃならないんですか?」と挑発してくるライオネルに対して

Because I have a right to be heard!

とジョージ6世が返します。これは直訳的に言うと「俺にはお前に話を聞かせる権利がある」という感じでしょうか。それに対してライオネルが

Heard as what?!

「へっ?何者として聞かせる権利があるんですか?」という感じでさらに挑発します。そしてそれに対するジョージ6世の答えが

A man! I HAVE A VOICE!!!

なんですね。ここは「(国王としてではなく)人として。俺には発言する権利がある」という感じでしょうか。かっこいいですね。


「have」は、簡単そうで奥が深い単語な気がします。健康状態を表すときも「have」を使いますよね。頭痛とかそうだし。

  • have a blocked nose:鼻が詰まる
  • have a cavity in a back tooth:奥歯に虫歯がある
  • have a chill:風邪をひいている、寒けがする


それと、健康状態ではないですが

  • have a baby: 赤ちゃんが生まれる
  • have a baby on the way:妊娠している
  • have a Caesarean:帝王切開で出産する
  • have a checkup:健康診断を受ける


身体の状態とか感覚とか

  • have a black eye:目の周りにあざがある
  • have a black face:不機嫌な顔をする
  • have a clean finish:〔飲み物などが〕すっきりした後味である


動作とか

  • have a bite:一口食べる(Have a bite!:一口食べて!)
  • have a look:一見する、のぞいてみる
  • have a think:考える
  • have a talk:話をする
  • have a cry:泣く(have a good cry:思い切り泣く)
  • have a row:口喧嘩する


他にも「have a case」だと「告訴する」だし、「have a chemistry」で「相性がいい」という感じの意味になると聞いたことがあります。




これだけ流動性の高い現代社会ですので、わたしたちもいつ内気な英国王になるとも限りません。皆さんも「I have a voice!」と自然に使えるように普段からレッスンしておきたいものです。とにかく面白そうな映画なので公開が楽しみです。

読みたい本

「have」の使い方について昔読んだ本で面白いのがあったので検索してみたんですがちょっと特定できませんでした。ですが、アマゾンを見ていたら以下の本が面白そうでした。





*1:ちなみにジョージ六世のお父さんのジョージ五世は日本に来て入れ墨を彫って帰った人です。

*2:ジェフリー・ラッシュは、映画『シャイン』でピアニストのデイヴィッド・ヘルフゴット役をつとめ、アカデミー主演男優賞を受賞している。ロードさんと同じくオーストラリア出身。